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メディカルラボ通信

2021年4月号『医学部を目指すための学習アドバイス~数学編~』

 2021.4.21 Updated
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 新年度が始まり,いよいよ本格的な受験勉強のスタートです!
 今回はメディカルラボの数学講師の松岡和哉先生に,2021年度入試の傾向を分析していただくとともに,医学部を目指す上で必要な数学の学習ポイントについてアドバイスをいただきました。

 

大学入学共通テストの数学を振り返る~変わった点・変わらなかった点~

 数学①(数学Ⅰ・A)では,試験時間が70分に増えたものの,必答問題2題と選択問題2題(「場合の数と確率」・「整数の性質」・「図形の性質」の3題から2題を選択)という形式はこれまでの大学入試センター試験(以下,センター試験)と変わりませんでした
 一方,大学入学共通テスト(以下,共通テスト)で大きく変化したと言えるのは,第1問[1](3)の異なる2つの有理数解を持つ条件を考えさせる設問や,第3問(3)・(4)の条件付き確率を問う設問に会話文形式が導入されたことや,第2問[1]の2次関数の問題で100m走について,タイムが最小となるストライドとピッチを求める問題が出題されたことです。
 特に第2問で戸惑った受験生が多くいたのではないでしょうか。試験時間を考慮すると,この問題は問題文の中から解答するために必要な情報と,そうでない情報とをいかに素早く判断し,読み取ることができたかが大きく影響したと思われます。また,(1)の適切な式を選択させる設問は,ピッチの単位が〔歩/秒〕,ストライドの単位が〔m/歩〕なので,求める平均速度〔m/秒〕は理科のように単位計算することで,6個ある選択肢が2個に絞れてしまいます。出題ミスとも捉えられますが,本来記述式の出題を考えていたものを,急遽選択式に変更したために無理が生じたとも考えられます。2022年度以降は,このような出題は減っていくと考えられるので,先に述べたように,必要な情報の取捨選択が重要になってきます。

 

図1 大学入学共通テスト 数学①〔数学Ⅰ・A〕第2問[1]より
 数学②(数学Ⅱ・B)も必答問題2題と選択問題2題(「確率分布と統計的な推測」・「数列」・「ベクトル」の3題から2題を選択)という形式はこれまでのセンター試験と変わらなかったものの,「確率分布と統計的な推測」が第3問に配置されました。これは学習指導要領の配置順に従ったものと考えられます。
 特筆すべき点としては,適切な式やグラフなどを選択肢から選ばせる問題が増加し,第1問[2]の指数関数の性質を三角関数の性質と比較する問題では,(3)で会話文形式が出題されました。また,第1問[2]は数学Ⅲにおける双曲線の媒介変数表示とほぼ同じ式が用いられていたため,その知識があれば性質などは分かりやすく取り組みやすかったでしょう。さらに,第2問は(1)でまず2次関数を扱い,(2)で3次関数に拡張する問題でしたが,このように「誘導に乗る」問題は,私立医学部の入試問題でよく見られるので,確実に解けるようにしておきましょう

2021年度 私立医学部入試における数学の出題傾向

 2020年春,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の感染拡大抑制を目的に,全国の高校で臨時休校が実施されました。2021年度の私立医学部入試では,その影響を考慮してか,多くの大学で数学Ⅲ範囲の積分を用いて面積や体積を求めさせる問題が出題されず,複素数平面を扱った問題も少なめでした。また,全体的に計算量を減らした大学も多く見られました。
 また,埼玉医科大学では「ある感染症における感染者数の考察」を題材とした数列の問題が出題されたり,関西医科大学では「ある病気にかかっているかどうかを判定する検査において,検査結果が陽性となる確率や陽性判定された際に実際に病気にかかっている確率」を題材とした条件付き確率(ベイズの定理)の問題が出題されたりと,世相を反映した出題も見られました。
 さらに,慶應義塾大学では2000年度以降,〔Ⅱ〕は確率と数列の融合問題が定番でしたが,2021年度はその代わりにデータの分析が出題されました。これはやや気になる変更ですが,私立医学部全体でみると,センター試験から共通テストへの変更による出題傾向の変化はほぼ見られませんでした。
 ただし2021年度入試は,COVID-19の影響により,多くの大学で試験時間や出題範囲などにおいて変則的な運用が行われました。そのため,2022年度入試に向けては,2021年度の出題傾向は参考にしすぎず,これまでの出題傾向に合わせて学習に取り組んだほうが良いと言えるでしょう。

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