メディカルラボ通信
医学部は何年通う必要がある?
大学院の必要年数や医者になるまでの流れを解説
医学部に入り、医者になるまでには何年必要なのか、気になる方もいるでしょう。
まずは医学部受験による狭き門を突破する必要がありますが、一般的には医学部に合格し、大学入学、医師国家試験に合格し、研修医を経て、ようやく1人前の医者としての仕事がスタートします。今回は医者になるまでの年数や流れを詳しく解説します。医者を目指している人は、是非参考にしてみてください。
CONTENTS
医学部は何年通う必要がある?
医学部は6年間大学へ通う必要があり、高校からストレートに進級する場合18歳で入学し、24歳で医学部を卒業できます。
進級条件の厳しさから留年を経験する学生もいます。特に2024年度以降の入学者は新カリキュラム(医学教育モデル・コア・カリキュラム)の導入により、「AI・ビッグデータ活用」などの内容が盛り込まれ、医学部では最新技術を適切に扱える医療人材の育成も求められています。
これらも見据えつつ、医学部受験の対策は早めに行うことが重要で、まずは医学部受験に合格することが医師になるための第一歩です。しっかりと準備を進め、計画的に目標達成を目指しましょう。
医者になるには?医学部受験の特徴や
合格するために必要な勉強量
医学部が6年制の理由
医学部はなぜ4年制ではなく6年制なのでしょうか。6年制である理由と、その期間、医者になるためにどんなことを学んでいくのかを紹介します。
法律で定められている
医学部については教育基本法の第87条第2項に定められており、大学6年制とすることが法律で定められています。1947年に6年制となる以前は5年制でしたが、この改定の背景としては、より高い医学知識と技術を身につけるために、より多くの時間をかけて医学を学ぶ必要があると認定されたためです。これにより、医学生は十分な時間をかけて高度な医学教育を受けることが可能となりました。
学ぶ量が多い
医者は人の命にかかわる仕事であることから、幅広い知識を身につける必要があります。専門の科に限らず、さまざまな科の知識が求められるため、学ぶ量が非常に多くなります。
以下は1年生から6年生までの学びの概要です。
1年生 | 基礎医学(解剖学、生理学など)、一般教養 |
2年生 | 基礎医学(病理学、薬理学、生理学など) |
3年生 | 臨床医学(内科学、外科学、公衆衛生学、行動科学など) |
4年生 | 臨床医学(産婦人科学、小児科学など)、臨床導入学習 |
5年生 | 臨床実習(病院での実施訓練) |
6年生 | 臨床実習(病院での実施訓練) |
カリキュラムは大学ごとに異なりますが、一般的には1~2生では医学導入や基礎科目を履修し、3~4年生では臨床医学に進み、診療科目を学びます。
また5~6年生では病院での実地訓練を通じて、実際の医療現場での経験を積み、実践的な技術を身に付けます。そのために、実習前には共用試験(CBT、OSCE) を受け、合格後に臨床実習を行う流れです。
このように、多岐にわたる知識と技術を身に付けることで、医師としての準備を整えることができます。
実習に長期間を要する
実習に長期間を要します。これは、数々の診療科をまわりカリキュラム診察や検査、手術(オペ)に参加する臨床実習が必須であるためです。
5年生では、通称「ポリクリ」と呼ばれる各診療科を回る臨床実習をメインに行います。現場に触れる実習は大学の医学部の必須カリキュラムであり、学生が多様な臨床経験を積み、実際の医療現場で必要な知識と技術を習得するために重要です。
このように、長期間の実習を通じて、医学生は実践的な医療技術を学びます。
医学部の大学院(博士課程)は何年通う必要がある?
医学部の大学院(博士課程)では、大学に6年間通学し、学士を取得した後、大学院に4年間在籍するのが標準的です。博士論文を書くことで修士を飛ばして博士の学位が授与されます。また、医学部の大学院へ進学する場合、医学部以外の工学部や理学部の出身者でも進学可能で、医学博士を取得するための条件は医学部出身であることとは限りません。多くの場合、研修医を経てから大学院に進学するため、大学院に通い始める年齢は30~35歳頃で、専門知識の習得や、研究医、教授を目指すキャリアアップを目的として進学するケースが多い傾向です。
医者になるまでにかかる年数
医者になるまでに最短で8年を要します。
医学部で6年間学び、初期の臨床研修に2年間を費やすため、大学に現役で入学した場合、最短で医師になれる年齢は26歳です。共用試験や医師国家試験にクリアすることは難しく、初期臨床研修では、研修と並行して受け入れ先の病院を探す必要もあります。
医者になるまでのプロセスは多岐にわたり、計画的な準備が求められます。そのため、あらかじめ目指す医師像を定めておくことがとても大切です。
医者になるまでの流れ
1. 医学部入学 |
医学部に入学してから、医者になるまでにはどのような過程があるのでしょうか。資格を得て医者になるまでの流れをご紹介します。
1.医学部入学
医者を目指すうえでの第一歩が医学部に入学することです。仮に高校入学段階で「医者になりたい」と決意が決まっている場合は、大学入学共通テストと医学部二次試験対策を並行してできるように、早期(高校1年生)から対策をすることがおすすめです。医学部入試は「偏差値が高い」「私立の場合は学費が高額」「全大学で面接試験が必須」であるため、しっかりと対策をしておくことが求められます。医学部のカリキュラムは多岐に渡るため、大学へ入学してからも継続的に勉強する必要があります。
2.CBT/OSCE、医学部卒業試験を受ける
医師になるためには、「CBT(Computer-Based Testing)」と「OSCE(Objective Structured Clinical Examination)」をクリアする必要があります。CBTはPC上で行われる筆記試験で、OSCEは模擬患者を対象に技術や態度を評価する実技試験です。これは医学部のカリキュラムの一つであり5年生の臨床実習を始める際に合格する必要があります。医師としての基本的な知識と技能を確認する仮免許試験に相当します。
さらに、医学部卒業のためには卒業試験に合格する必要があります。この卒業試験は、6年生の9月~12月の期間で実施されるのが一般的であり、これらの試験をクリアすることで、医師国家試験への受験資格を得ることができます。
3.医師国家試験を受ける
医師になるための最終段階は「医師国家試験」の受験です。医学部卒業試験をクリアした後に受験資格を得て、この試験を受けます。医師国家試験は、医師免許取得のために必要であり、筆記試験と口頭試験の2つで構成されています。
2024年度の全体の合格率は92.4% であり、高い合格率が示されています。試験は医師としての適性や知識を厳密に評価するものです。合格後は地域医療や専門医としてのキャリアに進むための準備が進みます。
4.臨床研修を受ける
医者になるための流れにおいて、医師国家試験合格後は研修医として臨床研修が始まります。この初期研修とも呼ばれる2年間の実務経験では、診断や治療、手術などの基本的な医療行為を習得します。
研修医は、医師臨床研修マッチングというシステムによって、病院や診療所に配属されます。この配属先で実際の医療現場での経験を通じて、医師としての実務能力を高めていきます。臨床研修は医学部で学んだ理論を実践に移す重要な段階であり、将来の医療現場での活躍に向けて不可欠な準備期間です。
5.後期研修を受ける
医者になるための流れにおいて、臨床研修を終えると基本的な医療行為を実施できるようになりますが、専門医としてのキャリアを追及する場合、後期研修を受けます。この後期研修では、自分が目指す専門分野の診療科に特化した経験を積むことが特徴です。研修期間は一般的に3年~6年程度とされ、その間に専門医として(例えば内科や外科、小児科などの専門領域)の深い知識の理解や技能を磨きます。
医師としての専門性を高め、さらに高度な医療提供をするための準備ができる期間であり、終了すると医者としての仕事がスタートします。
「医者になる」と決めたら、今すぐ対策を始めよう!
今回は、医者になるためにはどれくらいの年数がかかるのか、医者になるまでの流れを詳しく紹介しました。医学部は他学部とは異なり、医学部に入学してから1人前の医師になるまでに、長期間の道のりを要します。長期間かけて医師になるための準備が必要であることを考えると、医学部入学時に高い学力や医師の資質が求められることも納得です。
人気の高まる医学部受験は狭き門でもあります。「医者になりたい」と決めた際には、入学することから計画的に準備を行いましょう。「医学部受験」を突破することがまず第一歩であり、学習の習慣化や苦手科目の克服など、早い時期から対策することがおすすめです。
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