2022年9月号『高1・高2の今から始めておきたい医学部受験準備』
9月は多くの台風が発生しました。例年は平均5個程度ですが,今年はつい先日発生した台風18号で7個目です。秋の連休を狙ったかのように日本列島を台風が通過したため,交通機関や各種イベントなど,多方面に影響が出ました。また,各地で土砂災害や断水なども発生し,被害に遭われた皆さまには,謹んでお見舞い申し上げます。
受験生の皆さんは夏の模試の結果も出て,いよいよ受験校を決めていく時期を迎えました。これからまだまだ学力は伸びます。「行ける」大学ではなく「行きたい」大学を目指して頑張りましょう!
さて,今回のメディカルラボ通信は「高1・高2の今から始めておきたい医学部受験準備」と題し,現役合格を目指すために受験学年を迎えるまでに押さえるべき学習のポイントについてお伝えします。
医学部現役合格を目指すために高1・高2から始めておきたいこと
英語と数学の学習に重点を置いた学習を
英語,数学ともに,積み重ねがポイントとなる教科です。例えば,数学の入試問題を見ると,数学Ⅲ範囲の問題は高1・高2で学習した内容(確率,三角関数,図形,数列など)を絡めたものがほとんどです。また、国公立大学の個別試験では,英語と数学の配点比率が他科目よりも高い大学が多く,私立大学も同じような傾向が見られます。したがって,苦手分野は「持たず」「作らず」「早く克服する」が大切です。高1生の皆さんで,高校の学習内容が中学までと大きく変わったことで苦手意識を持ってしまった人はいませんか。後々に影響が出てくる前に,今のうちに克服を目指しましょう。
理科は基礎力の定着を意識する
一般に,医学部受験において理科は物理・化学・生物から2科目選択となります。高1や高2の時点では意識して理科に力を入れる必要はありません。上記の通り,英語と数学に重点を置くべきです。
普段の授業を中心にしっかりと復習を行い,夏休みや冬休みといった時期に予備校の講習などを活用し,学習内容の定着を図ることで,高3から受験勉強にスムーズに移ることができます。ただし,物理や化学,生物においても,英語や数学と同様に苦手分野は作らないようにしましょう。
国公立志望の場合は国語や地歴・公民,情報の準備も忘れずに
国公立医学部を目指す場合,基本的には大学入学共通テスト(以下,共通テスト)でのみ国語や地歴・公民が必要になります(一部の大学では個別試験でも国語が必要)。共通テストでは難問・奇問は出題されません。したがって,理科と同様に普段の学習を疎かにしないことが大事になってきます。国語が苦手なために国公立医学部を断念せざるを得ない場合も出てきます。そのため,古文や漢文の基礎については,高1・高2のうちに基本的な文法や句法などを定着させておくようにしましょう。また,現在の高1生が受験する2025(令和7)年度入試からは,共通テストに新科目「情報Ⅰ」が追加されます。現時点では未公表としている大学も多いですが,国公立大学の多くで必須科目に指定されています。大学入試センターが公表している出題例を見る限り,さほど難しい出題はなさそうですが,興味を持てるかどうかで得意不得意が決まりやすい科目です。最近はスマートフォンやタブレットが主流でPCに触れる機会が減っています。共通テストで出題される「情報Ⅰ」はペーパーテストですが,実際にPCに触れてみてプログラミングをしたりソフトウェアなどを実際に動かしたりすることで,理解がさらに深まります。したがって,早い時期からPCに慣れておくことが重要でしょう。
私立医学部を目指す場合でも,学校推薦型選抜や総合型選抜での受験を考えている場合は,調査書の評定平均値を一定水準以上にしておく必要があるため,国語や地歴・公民,情報の成績も大切です。
英語の学習法
内容,形式,分量すべてにおいて『大学それぞれに個性がある』
「赤ちゃんが言葉を覚えるように,シャワーを浴びるように英語を聴き続けていれば,英語が上達します」などという宣伝文句を聞いたことはありませんか?これはある意味では正解ですが,ある意味では不正解です。幼少期であれば,先の方法によって英語力の向上が期待できますが,残念ながら一定の年齢を超えると,言語習得能力は極端に衰えてしまうので,ネイティブと同じ方法で英語を習得することは不可能と言えます。
英語の学習を自動車にたとえると,エンジンやブレーキといった個々の部品はそれぞれ『英単語・熟語』や『慣用表現』などに相当し,設計図は『文法・語法』に相当します。『発音・アクセント』は……,難しいですが強いて言うなら,自動車の運転技術といったところでしょうか。このうちどれが欠けても,自動車を作り,動かすことはできません。すなわち,英語力は向上しないわけです。
医学部受験生が目指すべきなのはネイティブレベルではなく,医学部入試を突破できるレベルです。そのために必要となる『英単語・熟語』,『慣用表現』,『文法・語法』,『発音・アクセント』などを効率良く身につける必要があります。信頼できる指導者の下で,信頼できるテキストを用いて学習を進めるのが一番です。
高校の先生や塾・予備校の講師などを最大限活用し,疑問点や不明点をそのままにせず,すぐに質問して解決することを習慣づけましょう。メディカルラボでは,生徒一人ひとりの現状と志望校に合わせて,1対1の個別授業を展開していますので,非常に効率良く学習を進めることが可能です。
独学で頑張る場合,文法については「総合英語Evergreen」や「ジーニアス総合英語」といった『総合英語』系の参考書を頼りに,文法・語法の問題集を1冊完璧にやりこむと良いでしょう。薄いもので構わないので,全ての問題を確実に解けるようになるまで何度も繰り返し解いてください。
単熟語については,共通テストレベルの単語集を1冊完璧に仕上げてください。単語集は少しずつ区切って進めるよりも,忘れることを前提にまずは全体を一通り通してみるのが良いでしょう。何度も繰り返し取り組むことで徐々に定着していくので,根気よく続けることが大切です。
長文については,独学で取り組むと自己流の読み方になってしまうおそれがあるので,しっかりと人から教わる方が良いでしょう。文型や品詞を意識しつつ,文構造を捉えながら読む技術を習得しましょう。高1・高2の間は,スピードにこだわらず,正確に読むこと(精読)を重視して学習を進めてください。
最後になりますが,英語の学習はできる限り声に出して行うのがベターです。自習室など声を出すことが無理な場合は,頭の中で音声化してみてください。音として記憶に残すことが,後々大きな意味を持ってきます。
数学の学習法
高3生になるまでに数学Ⅰ・A・Ⅱ・B範囲の苦手分野を克服することが合格のカギ
医学部を目指す場合,数学は合否の要となる教科です。しかし数学は,文系・理系を問わず苦手科目の筆頭に挙がる教科でもあります。現役生のみならず,既卒生の中にも数学に苦手意識を持つ生徒は多く,克服するのにとても苦労しています。
では,どうすれば良いのでしょうか?
それは高校3年生になるまでに,できる限り数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの範囲を完成させることです。数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの範囲は,数学の基礎的な部分であり,共通テストや医学部入試においても核となる内容を含んでいます。また,私立医学部の学校推薦型選抜や総合型選抜などでは,数学の出題範囲が数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bに指定されていることも多く,この範囲を盤石にしておくことでライバルを一歩リードできます。
まずは苦手分野を中心に,基礎レベルから徹底的に復習を行い,不安を取り除くことが何よりも大切です。夏休みはもうすぐ終わりますが,この先の冬休みを活用して短期集中して取り組むことをお薦めします。塾・予備校の冬期講習などを活用するのも良いでしょう。
自分で勉強する場合には,どのような教材を選ぶかが重要なポイントです。自身の学力レベルを正確に把握して,学力に合った教材を選ばなければ,時間だけが無為に経過してしまい,途中で投げ出してしまうなんてことになりかねません。さらに,その教材を継続的に何度も繰り返すことで学力の向上が見込めます。ちなみに,メディカルラボでは,無料の学力診断テストをいつでも受験可能です(要予約)。客観的な指標で分野別に今の学力レベルを測れる上に,その学力レベルに応じた適切なテキストもアドバイスしてもらえますので,ぜひ活用してみてください。
加えて大切なことは,問題の解法をいかに理解して,その解法を入試本番で使える形にするかということです。ただ解法だけを覚えていても,実際に入試問題に直面したときに解けなければ合格はできません。到達すべきは,解法の本質を理解し,数値や条件設定が変わった問題でも,同じようにすらすら解けるという状態です。
ここまで来れば,あとはスムーズに受験数学の勉強に移ることができるでしょう。多くの進学校で高2の後半から学習がスタートする数学Ⅲも,基本的な学習の進め方は上記に述べた通りです。もし,学習法や教材の選択などについてご質問があれば,ぜひお近くのメディカルラボまでお問い合わせください。
まとめ
今回は高1・高2の学習のポイントについてお伝えしました。合格するための王道はありません。どの教科も基礎固めを怠らずにコツコツと学習を進めることが合格への近道と言えるでしょう。
共通テスト(2023/1/14)まであと110日と少しとなりました。受験生の皆さんは後半戦に突入します。残暑厳しい秋となりそうですが,朝晩の冷え込みは少しずつ増してきます。ご家族の皆さんを含め,体調には十分気をつけて引き続き頑張ってください!
(医系専門予備校メディカルラボ)
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