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メディカルラボ通信

2024年7月号『医学部を目指すための学習アドバイス~化学編~』

2024.7.30 公開
 
毎日セミの大合唱が聞こえてきて,暑い日々が続いていますね。
この時期は多くの大学でオープンキャンパスが開催されています。
既に申込締切になっている大学が多い一方で,
事前申込なしで参加できる大学もあります。
合格したら6年間を過ごすことになるキャンパスです。ぜひ一度,実際に足を運んでみて,
雰囲気などを体感しておくとよいでしょう。
さて今回は,メディカルラボの化学担当講師の野々村浩和先生に,24年度入試の傾向を踏まえ,
医学部を目指す上で必要な化学学習のポイントについてアドバイスをいただきました。

 

2024年度入試の動向(大学入学共通テスト・私立医学部・国公立医学部)

大学入学共通テスト
 大学入学共通テスト(以下,共通テスト)は2024年度が4年目の実施でした。理科の得点調整は実施されず,化学の平均点は54.77点でした(2023年度の調整前平均点は48.56点)。昨年度に比べて解きやすい問題が増えた印象です。出題形式については,大問5題(各20点),各大問の出題分野の振り分け(第1問:理論,第2問:理論,第3問:理論・無機,第4問:有機,第5問:総合)は2023年度と同様で,共通テストの形式として定着しつつあります。
表1 2024年度共通テストの出題内容分類
 さて,共通テスト(2024年度)と大学入試センター試験(以下,センター試験)(2018年度)を比べてみます。マーク数は同じくらいですが,問題の分量(文章量)は大幅に増えており,共通テストはセンター試験の約1.5倍です。この違いはどこにあるのでしょうか。
 共通テストの特徴は第5問で,多くの受験生にとっては目新しい内容で出題されます。2024年度は質量分析法に関する総合問題でした。第5問以外でも,空気亜鉛電池,アスタチン(At),サリシン,ペニシリンG,β-ラクタム環など,センター試験の時代に比べ,あまり聞きなじみのない化学物質や化学用語が多く用いられています。そのため,多くの説明文が補足され,問題文から必要な情報を読み取って判断する能力が問われることになります。かなりオーソドックスな物質や内容が扱われていたセンター試験との最も大きな違いはここにあると言えます(グラフから必要な情報を読み取って判断する問題も共通テストの特徴ですが,これらは上記の分類において一部を知識問題や計算問題としています)。
 ここで,2025年度の共通テストに向けて,2つの対策法を紹介します。
 まず,1つ目の対策は,日頃から化学用語が用いられた文章を読んで理解する習慣を身につけることです。誤解してほしくないのは,受験参考書を1からすべて読むという意味ではありません。参考書の「参考」とは「自身の考えを決めるための足しにする」という意味であり,参考書は1つのことがらに対して不明点や疑問点が生じたときに読むものです。もちろん,必要なときに問題集の解説をじっくりと読んで理解する学習も対策になります。読んだ後に明らかになった点や解決した点などを,ノートに書き出してアウトプットすることで,定着率を格段に上げられます。
 次に,2つ目の対策は,頻出分野における苦手な単元を克服しておくことです。共通テストは「熱化学」「電池・電気分解」「典型元素の金属とその化合物」「アルコールとカルボニル化合物」「アミノ酸とタンパク質」「合成高分子化合物」が必出です。これらの中に自身の苦手単元がある場合は早急に対策してください。まずはインプットから始めますが,それ以上にアウトプットの繰り返しが必要です。記憶は引き出せなければ意味がないからです。アウトプットのための教材は学校で配布されたテキストなど,手近にあるもので十分です。さらに,苦手単元を強化するとともに,実戦力をつけるための教材としては,『問題タイプ別 大学入学共通テスト対策問題集 化学』(実教出版)がオススメです。単元別学習(知識・計算)はもちろん,実験・グラフ問題対策,思考力問題対策,模擬問題(2回分)まで掲載されています。
私立医学部
 2024年度の私立医学部の出題傾向(現時点で判明している範囲)は,2023年度と比べて多くの大学で大きな変化は見られませんでした。細かい変化としては,例えば国際医療福祉大学は2023年度に比べて計算量が減り,有機の構造決定問題も解きやすいものでした。関西医科大学もやや煩雑な計算問題が出題されていましたが,全体としては易しくなりました。
 出題形式の目立った変化としては,兵庫医科大学で出題された「周期表第3周期の元素とその化合物」に関する一問一答形式(8問)に注目です。直前期に一問一答集に励んだ受験生にとっては嬉しい出題でしたが,「1点差」で明暗が分かれる状況では決して落とせない問題とも言えます。
 2024年度に出題された問題で注目すべきは,慶應義塾大学の大問1「CODの正しい滴定方法を論述する問題」です。『2024 実戦 化学重要問題集』(数研出版)(以下,重問と表記)の問題139と比較すると,驚く受験生が多いことでしょう。本問を通してCODについて深く学んでほしいと思います。
 次に注目したいのが,大阪医科薬科大学の大問1「ヨードホルム反応の反応機構,クメン法の反応機構など」です。電子論をまったく使わずに考えるのはほぼ不可能な問題です。受験化学の指導においては賛否両論ある電子論ですが,その適用法・適用範囲の一つの指針となる出題ではないでしょうか。その他にも,電子論の考え方が必要な出題例として,帝京大学〔1日目〕の大問3の問2(メタンの製法)があります。
 ここで,2024年度の問題より,「解けるようにしておきたい頻出問題」「一度は触れておきたい問題」を紹介します(表中の「重問」は『2024 実戦 化学重要問題集』(数研出版),「新演習」は『化学の新演習』(三省堂)を指す)。
表2-1 2024年度 解けるようにしておきたい頻出問題(私立医学部)
表2-2 2024年度 一度は触れておきたい問題(私立医学部)


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