メディカルラボ通信
2025年3月号『医学部を目指すための学習アドバイス’25~英語編~』
2025.3.29公開
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25年度の医学部入試もほぼ終わり,次年度に向けての準備を始める時期となりました。
今回はメディカルラボの英語講師の国定誠先生に,25年度入試の傾向を踏まえ,医学部を目指す上で必要な英語学習のポイントについてアドバイスをいただきました。
今回はメディカルラボの英語講師の国定誠先生に,25年度入試の傾向を踏まえ,医学部を目指す上で必要な英語学習のポイントについてアドバイスをいただきました。
CONTENTS
大学入学共通テストの変更点と新傾向問題の意図
令和7(2025)年度の大学入学共通テスト(以下,共通テスト)は新課程入試の1年目ということもあり,出題形式などにいくつかの変化がありました。中でも平均点が2024年度と比べて6点以上も上がったのは特筆すべき点と言えます。これは2024年度の平均点が51.54点と過去最低だったため,設問数と全体の読解量を減らして平均点の上昇を図ったものと思われます。
また,新傾向の問題が2題出題されており,大問4は学生が書いたと思われるエッセイの誤りを訂正しながら論理的な英文とは何かを理解する問題,大問8は5人の意見を集約し,その集約した意見と他の資料を利用してエッセイを作成していく問題でした。一般に新傾向の問題が出題されると平均点は下がる傾向にありますが,2022年11月に大学入試センターが公表した「試作問題」とほぼ同じ形式で,内容的にも易しかったため,平均点が下がるような影響は全くありませんでした。
国公立大(2次試験)の出題傾向
国公立大の2次試験の出題内容を見ると,長文読解と英作文が中心という傾向に大きな変化はありませんでした。
長文読解問題では,例年通り空所補充,同意語選択,下線部和訳,内容説明,内容一致などが出題されていました。空所補充と同意語選択については,文脈から判断できる問題であれば共通テスト対策と同様の学習で対応可能ですが,文法・語法の知識が必要な前置詞や動詞の空所補充などは,共通テスト対策の学習では不十分と言えます。一方,下線部和訳は構文や文構造を把握できていないと大幅に減点されるおそれがあります。内容説明問題は文脈が理解できていれば何とか乗り切れますが,万が一理解が不十分な場合,前後の英文を和訳して部分点を狙わなくてはなりません。その際には,1文または2文だけで解釈する力が必要となります。国公立大の2次試験は,共通テストでは測れない学力をみるための出題だと考えれば,共通テストで直接問われることの少ない文法理解,語彙力,解釈力が合否を左右するのではないでしょうか。
私立医学部の出題傾向
私立医学部のの出題内容を見ると,こちらも大きな変化はなく,例年通り長文読解,文法・語法,英作文(語句整序を含む),会話文が中心の出題でした。共通テストや国公立大の2次試験と比較して大きく異なる点は,文法・語法問題と文章中の空所補充問題の出現率の高さだと言えます。そんな中,藤田医科大学は読解問題の設問を減らし,文法語法の問題を増やすという興味深い出題となっていました。その一例を以下に示します。
第1問 次の問1~8の空所[ 1 ]~[ 8 ]に入れるのに最も適切なものを(1)~(4)から1つ選び,その番号をマークしなさい。
問1. All of the stafff members who attended the seminar [ 1 ] saying goodbye to their former director.
(1) expected (2) missed (3) refused (4) wished
問5. Mr. and Mrs. Allen [ 5 ] to eat lunch, so they will be absent from today’s conference.
(1) had been (2) had gone (3) have been (4) have gone.(2025年度 藤田医科大学[医]大問1より引用)
【解答・解説】
問1. 正解は(2)「そのセミナーに参加したすべてのスタッフは,前任の課長に挨拶し損ねた」。空所の直後が「~ing」になっているので,missしか入らない。動詞 miss は動名詞を目的語にとる動詞だが,(1)・(3)・(4)はすべて不定詞を目的語にとる動詞。文脈からだけでは判断できない問題。
問5. 正解は(4)「アレン夫妻は昼食を食べに行ってしまった。だから今日の会議を欠席するだろう」。完了時制に関する設問。接続詞 so の後の時制が未来形なので,(1)・(2)の過去完了は不可。(3)の “have been” は “have been to ~” で「~に行ったことがある,~に行ってきたところだ(今ここにいる)」という意味になるが,文意に合わない。(4)の “have gone” は「~に行ってしまった(今ここにいない)」という意味になるので,文意とも合致する。
この他にも,受験生からのヒアリングによると,愛知医科大学でも同様の傾向が見られたようです。合否に大きく影響するほどの変更ではないかも知れませんが,近年の英語教育における会話重視・文法軽視という風潮とは逆の流れのため,注視していきたいところです。