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「医学部合格ガイダンス」2015年度医学部入試分析編 ~夏~
●VOL.18メディカルラボ横浜校校舎長 渡辺裕志
地区別の志願者数を見てみると、西高東低のように、東日本に行くと前年度よりも志願者数が減ってきているかなという印象はあります。しかし、これは年度によって変化する傾向が強いです。
次に「隔年現象」についてお話します。これは毎年秋に開催する、受験校選びのガイダンスでもお話をしますが、「隔年現象」というものが国公立では起こりやすいです。これは何かと言いますと、受験者の心理に基づいた増減現象です。例えば前年度に志願者数の少ない大学だと、今年も少なくなるんじゃないかと期待をして出願したりしますよね? 冷静に考えればそうじゃないんですよ。冷静になると、去年少ないところはみんな出願するから増えるだろうなと思えます。ですが、医学部受験生の心理とすれば「とにかく合格したい」。合格したいとなると、どうしても視野が狭まるんです。こういう話をしても毎年この現象が起こります。前年度志願者数の少ないところは、翌年は多くなります。場合によっては半分になるかというところもあるんですよね。センター試験の結果にもよりますが、前年度の志願者数だけに囚われないようにしてください。過去10年間くらいは遡って、出願の動きがどうだったのかな?というのは見てもらいたいと思います。なので、先ほど「西高東低ですね」というお話もしましたが、来年はまた変わってくるんじゃないかなと考えています。
受験内容の変化と日程が志願者数を大きく左右する
これは、志願者数の増減が大きかった国公立医学部を挙げています。この中で「減ったな」という印象があったのは、鹿児島大学です。これも秋にもお話をさせていただくことですが、受験の試験内容が変わると、それに志願者数が影響されることが多いです。鹿児島大学は理科が2科目に増えました。理科が2科目は普通ですよね。他の大学は2科目のところがほとんどなのですが、鹿児島大学を狙っていた受験生は理科が1科目から2科目になったので負担が増えるから避けようとした。そこでこんなに志願者数が減ってしまった。試験内容の変化と志願者数の変化は、私立医学部でも同じことが言えます。
こちらが私立の動向ですね。志願者数の増減が大きかった大学ということになるんですが、藤田保健衛生大学を見てください。私立と国立の違いは、私立はいくつでも受験できますということです。ただ、同じ日に試験があったら、どちらかを選ばなければならないですよね? 2015年、藤田保健衛生大学は4つの大学と日程が被りました。被った大学が、埼玉医科大学、近畿大学、川崎医科大学。4つの大学が被ったりすると、その地域に近い大学を受験される方が多い傾向にあります。例えば、埼玉医科大学なら関東の方が受けやすい大学ですよね。近畿大学であれば、関西圏の方が受験されます。川崎医科大学は…実はこちらの大学は狙い目でして、中国地方の方があまり受験しないんです。中国地方の方は、どちらかというと近畿大学のほうを受験される方が多かったりします。なので、日程が被った場合に私たちが薦めるのは川崎医科大学なんです。しかし、この大学は現地受験です。わざわざ岡山県まで行かなければならない。医学部受験が続く中、足がなかなか伸びませんよね。前日に受験が終わってから岡山まで行かなければならないとか、岡山から帰ってきて翌日も受験だとかということが起こる。川崎医科大学がどうしてこういうことをしているかというと、「本当に来たい子に受験してもらいたい」ということでした。
通常だと川崎医科大学が狙い目なんですが、今年は藤田保健衛生大学が400人以上志願者数を減らしました。医学部受験は400人も志願者数が減ると、何か相当な変化があったということです。何が変わったのかというと、受験の内容です。今までは英語と数学と理科が各100点という受験システムでした。それが、英語と数学が100から200に配点が変わりました。そうすると、若干現役生に多いんですが、「英数は苦手なんですけど理科はなんとか点を取れるんです」っていう理科が得意だという医学部受験生は受けづらくなるんです。理科で逆転できませんから。各100点でしたら、英語の配点も理科の配点も同じなので、理科で取り戻すということができる。ですが、こうなってくると、どうしても英数が苦手な生徒は受験出来ないので、他の大学を受ける形になっていきます。このように科目の変更も受験動向に大きく関わります。
帝京大学の志願者数の増加は、強いて言えば学費の減額でしょう。2014年度から学費を1,000万円程度減額しました。2013年度までは約5,500人くらいだった志願者数が約3,000人くらい増えています。2015年に若干志願者数が減ったのは、東海大学と日程が被ったからかなと思います。
東京医科大学や北里大学は14年は重複日程だったのが単独になったので、受験者が増えているのだと思います。
秋頃に受験校選びのイベントを行いますが、そのときに今までお話した「隔年現象」「受験日程の重複」「科目の変更(配点の変更)」、こういった部分を見て自分がどこの大学を受験したらいいのか判断していただければと思います。 一覧へ戻る